インフィニオン、1200VのシリコンカーバイドMOSFET技術を発表、電力変換設計で圧倒的な効率性とパフォーマンスを発揮

2016/05/04 | マーケットニュース

2016年5月4日、ミュンヘン(ドイツ) 

独インフィニオンテクノロジーズは、これまでは実現不可能なレベルの電力密度やパフォーマンスを備えた製品設計を可能にする、画期的なシリコンカーバイド(SiC)MOSFET技術を発表しました。インフィニオンの「CoolSiC™」MOSFETは、高周波化と共に高効率化ができるかつてない柔軟性をもたらします。これにより、電力変換スキームの開発者は、使用面積や重量の低減、冷却要件の軽減、信頼性の向上、システムコストの削減を実現できます。 

インフィニオンのインダストリアルパワーコントロール事業部プレジデントのヘルムートガッセル(Dr. Helmut Gassel)は、次のように述べています。「インフィニオンは20年以上にわたって、SiCソリューションの開発の最前線に立ち、省エネ、小型化、システム統合、信頼性向上のニーズに応えてきました。当社はこれまで、SiCデバイスの搭載製品を多数製造してきました。また、当社のショットキーダイオード技術とJ-FET技術により、設計者は従来型シリコンでは不可能な電力密度とパフォーマンスを実現してきました。これまでは実現不可能だった、かつてないメリットをSiC技術から引き出すパワーMOSFETにより、こうした戦略は今、大きな一歩を踏み出しています」 

SiC MOSFET機能の影響は、実に目覚ましいものです。電力変換スキームは、今日使用されるスイッチング周波数の3倍以上で動作可能です。これに伴うメリットとして、磁性部品やシステム筐体で使用される銅やアルミの材料が少なくてすみ、システムの小型軽量化を推進することで、輸送の負担が軽減され、設置作業も簡単になります。電力変換アプリケーションの設計者によって、今後は省エネ対応の新たなソリューションが実現します。こうしたアプリケーションは、パフォーマンス、効率性、システムの柔軟性を全く新しい次元で活用できます。 

新登場の1200V SiC MOSFETは、信頼性とパフォーマンスを両立できるよう、最適化が施されています。そして、1200Vシリコン(Si)IGBTより一桁少ない「ベンチマーク」のダイナミック損失で動作します。これにより、まずは太陽光発電インバータ、無停電電源(UPS)、充電/ストレージシステムなどのアプリケーションで、システムの向上がサポートされます。次に、産業用インバータ装置をサポートする構成も考えられます。 

今回発表されたMOSFETは、IGBTの駆動で一般的に使用される+15V/-5Vの電圧と完全互換です。さらに、4Vというベンチマークのしきい値電圧定格と、対象アプリケーションで要求される短絡耐性、完全制御可能なdv/dt特性を兼ね備えています。Si IGBTの代替製品に対する主なメリットとしては、温度非依存のスイッチング損失や、しきい値電圧フリーのオンステート特性があります。 

SiC半導体開発の長年の経験が積み重なって生まれた新型MOSFETは、最先端のトレンチ半導体プロセスをベースとしており、インフィニオンの包括的な「CoolSiC」技術ファミリーの最新の進化を体現しています。本ファミリーは、ショットキーダイオードと1200 V J-FETデバイスのほか、Si IGBTとSiCダイオードをモジュールに集積した一連のハイブリッドソリューションで構成されます。 

第一弾のディスクリート型1200V「CoolSiC」MOSFETは、45mΩという低オン抵抗(R DS(on))を特長としています。対象アプリケーションは、太陽光発電インバータ、UPS、バッテリー充電、エネルギー貯蔵で、3ピンと4ピンのTO-247パッケージで提供されます。いずれのデバイスも、動作時の逆回復損失がほぼゼロの整流ロバストボディダイオードを集積しており、同期整流スキームでの使用に対応します。4ピンパッケージには、ゲート駆動電圧の参照電位として使用される、ソースへの追加の(ケルビン)接続が搭載されます。ソースインダクタンスによる電圧降下の影響を排除することで、スイッチング周波数が高い状況などでは、スイッチング損失のさらなる削減が実現します。 

インフィニオンでは、SiC MOSFET技術をベースとした、1200V「Easy1B」ハーフブリッジ/ブースターモジュールも発表しました。各モジュールは、PressFIT接続と優れた熱伝導、低浮遊インダクタンス、堅牢設計を兼備しており、11mΩと23mΩのオン抵抗オプションで提供されます。 

提供状況

インフィニオンは、2016年下半期に対象アプリケーション向けのサンプル出荷を開始します。量産開始は2017年を予定しています。詳細については、 www.infineon.com/coolSiCをご覧ください。 

インフィニオン、「 PCIM 2016 」に出展

インフィニオンは「PCIM 2016」見本市(於:ドイツニュルンベルク、会期:2016年5月10~12日)のホール9、ブース#412にて、産業用、家電用、車載用アプリケーションにおける効率的なシステムに向けた最先端技術を紹介しています。「PCIM」でのインフィニオンの主な展示内容は、 www.infineon.com/pcim をご覧ください。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズは、暮らしをより便利に、安全に、エコに革新する半導体分野の世界的リーダーです。明るい未来の扉を開く鍵になる半導体をつくることが、私たちの使命だと考えています。2015会計年度(9 月決算)の売上高は58億ユーロ、従業員は世界全体で約3万5,400人。2015年1月に、売上高11億米ドル(6月29日を期末とする2014会計年度)、従業員約4,200人の米国インターナショナル・レクティファイアーを買収しました。

インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場(ticker symbol:IFX)、米国では店頭取引市場(ticker symbol:IFNNY)のOTCQX に株式上場しています。 

日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp

本社サイト: http://www.infineon.com (英語)

Information Number

INFIPC201605-053

Press Photos

  • Dr. Helmut Gassel, President of the Industrial Power Control Division of Infineon Technologies AG
    Dr. Helmut Gassel, President of the Industrial Power Control Division of Infineon Technologies AG
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