インフィニオンがBCTM 2003でバイポーラおよびBiCMOS回路技術の研究成果を紹介

2003/10/06 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、9月28日~30日に開催されたバイポーラ/BiCMOS回路技術会議(BCTM 2003)で、いくつかの論文を発表しました。BCTMの技術プログラムは、著 名な業界専門家による短期講座と、招待者や寄稿者による技術発表で構成されました。技術セッションは、高周波、デバイス物理学、プロセス技術、CADとモデリング、アナログ設計、パワー・デ バイスの各トピックスに編成されました。

インフィニオンはBCTMで、高速バイポーラ技術の最近の開発をハイライトした、数点の技術紹介を行いました。以下に、その表題と要約をご紹介します。

高周波および高速バイポーラ回路におけるサブストレート・カップリングを低減するための技術オプションに関する包括的な実験的研究
様々な回路要素間に基板(サブストレート)を介した不都合な結合(カップリング)があると、先進的な高速および高周波回路の性能が大幅に低減する可能性があります。そのため、回 路設計者はガードリングなどのシールディングを適用するのが通例です。しかし、高性能回路の場合、この方法では十分とは言い切れないため、構造技術自体を最適化する必要があります。この目的のため、様 々な基板材料、トランジスタ・アイソレーション技術、シールディング技術を調査し、それらがサブストレート・カップリングにどのように影響するかを測定によってつきとめました。

高周波バイポーラ技術用MIMCAPにおけるAl2O3誘電体の信頼性と材料特性;SiO2、SiN、Ta2O5との比較
Al2O3の誘電体としての特性を、MIMCAP(Metal Insulator Metal Capacitors)への適用という視点で調査し、よ り広く利用されているSiO2、SiNおよびTa2O5と比較しました。この論文でインフィニオンは初めて、高周波技術用としてのAl2O3 MIMCAPの特性を全体的に明らかにしました。Al2O3は、厚 さ20nmまで縮小化してもなお、信頼性の要件を満たし、静電容量密度3.5fF/μm2が得られます。この点でSiNとSiO2を大幅にしのぎます。静電容量の電圧依存性( 電圧の二乗に対する係数は50nm時に約100ppm/V2 )と、誘電損失(tanδ=0.0024)とは、アナログおよび高周波アプリケーションの要件を満たします。集 中的に評価されたTa2O5と比較すると、Al2O3は、大幅に低いリークを示します。ただし、達成しうる最大固有静電容量はやや低くなります。

高周波および高速バイポーラ/ BiCMOS回路のためのサブストレート・モデリング
サブストレート・カップリングは高速バイポーラ/ BiCMOS回路に不利な影響を及ぼし、回路故障を発生させる可能性もあります。先進的な多くの高速および高周波回路では、そ の影響を無視できません。従って、設計段階ですでに、これを正確にモデル化しておかねばなりません。この論文は、回路要素と基板との相互作用について概略を述べ、そ の影響をつきとめるのに使用できるシミュレーション技術をレビューしています。加えて、今日の設計環境へのサブストレート・モデリングの取り込みを、実例を用いて説明しています。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

Information Number

INFSMS200310.005