インフィニオンが環境に優しいDRAMデバイスとモジュールを供給開始

独インフィニオンテクノロジーズは、環境に優しいDRAMデバイスおよびモジュールが供給可能になったことを発表しました。これは、電 子業界の無公害技術への転換を先導する同社の取り組みを裏付けるものです。インフィニオンは現在、110nmプロセス技術を適用した大容量メモリ製品の生産立ち上げと合わせて、鉛およびハロゲン・フ リーのDRAMデバイスの供給を開始し、鉛およびハロゲン・フリーのメモリ・モジュールの供給を準備中です。

電子業界では、「グリーン（緑）」という用語は、鉛やハロゲン物質など、取締当局が人体に有害と指定した材料を実質的に含有しない製品を指します。一般に、鉛は、鉛仕上げ、ハンダボール、ハ ンダペーストなどに含まれ、ハロゲン物質は、プリント回路基板の組立および部品封止材料に使われます。業界標準仕様により、鉛フリーはDRAMおよびモジュールの鉛含有率が0.1パーセント（1,000 ppm） 未満、ハロゲン・フリーは塩素および臭素の含有率が0.09パーセント（900 ppm）未満を指します。デバイスからの鉛の排除が、環境親和の最初のステップとなります。ハロゲン・フリーのパッケージは、デ バイスから危険性のある他の化学成分を排除することにより「グリーン」に近づく、もう一つのステップとなります。後者の対象には、臭素、塩素、酸化アンチモンが含まれます。

インフィニオンのカルステン・ガツケ（メモリ製品グループ汎用DRAMマーケティング担当シニア・ディレクタ）は、「インフィニオンは法的要求に先行して、環 境に優しいサプライヤとしての道を先導します。早期の供給開始により顧客企業は、グリーン製品のメリットを徹底的に試験し評価するための十分な時間を持つことができます」と、語りました。

欧州連合（EU）の廃電気電子機器指令（WEEE）は、EU諸国で販売される製品に対し、2007年1月からリサイクルを義務付けます。広範囲にわたる一般の電子ハードウェアが、こ の指令の対象となります。このためEU諸国は数年以内に、リサイクル・プロセスを規定し、実行に移さなければなりません。鉛とハロゲンの排除によって、リサイクル・プロセスは容易になり、経費が節減されます。ま た、電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令（ROHS）は、2006年7月から鉛および他の特定有害物質の使用を禁止するものです。インフィニオンは環境親和製品を投入することにより、す べての関係者がそれらの指令を首尾よく実行できるよう支援します。

110nmプロセス技術を適用したインフィニオンのTSOPパッケージ型デバイスは、鉛フリーかつハロゲン・フリーになります。これに該当するのは、TSOP型の記憶容量1Gビット、512Mビット、 256Mビットの標準DDRと、Graphics RAM、Mobile RAM、Cellular RAMなどの専用メモリです。「グリーン」なTSOP 型256MビットDDRデバイスを適用したアンバッファ型モジュールを今回発売します。他のデバイスは追って年内に発売します。インフィニオンは、この環境親和技術を適用した、い くつかのタイプのDRAMモジュール（アンバッファ型、レジスタ付き、SO-DIMM）も発売する予定です。DDRとDDR2のFBGAパッケージは、それに対応するメモリ・モジュールも含めて、2 004年央から順次、「グリーン」に移行する予定です。

インフィニオンテクノロジーズ（Infineon Technologies AG）は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度（9月決算）の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。