インフィニオンがDWDM向けに高集積の光波長アド/ドロップ・モジュールを発表

2002/03/19 | マーケットニュース

インフィニオンテクノロジーズは、急成長するDWDM(高密度光波長分割多重)市場へ向けて、20チャネルROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)モジュールを発表しました。「Smart ROADM」と呼ばれる新デバイスは、光通信網におけるアド/ドロップ(光波長の挿入と抜出)およびパワーイコライズ(光信号レベルの均等化)に 必要な全機能をワンチップ化した、市場で現在唯一の製品です。デマルチプレクサ(分離回路)、マルチプレクサ(多重回路)、スイッチマトリクス、光可変減衰器、光パワーモニタ、制 御電子回路などが集積されています。高い集積レベルにより、他のソリューションと比較して、占有面積とデバイスコストが低減されます。

当製品は、米国カリフォルニア州アナハイムで開催中の光ファイバ通信会議(会期:3月18~22日)で発表され、インフィニオンブース(番号3812)に展示されています。

この20チャネルROADMモジュールは、電気系と光学系の組み合わせに関するインフィニオンの高い技術力を示すものであり、費 用効果の高い先進ネットワークソリューションを顧客企業へ提供することを可能にします。「Smart ROADM」は、DWDMの中核アプリケーションであるMAN(都市圏ネットワーク)や長距離伝送、さ らには先進的なオール・オプティカル・ネットワークを対象として開発されました。

インフィニオンのエルヴィン・ヴォルフ(有線通信グループ担当副社長兼光通信事業ユニット・ゼネラルマネージャ)は、「インターネットの広範な普及は通信需要の爆発的な増大をもたらし、多 くの通信事業者は既設の光通信網の能力増強を図るために、WDM(波長分割多重)へと移行しています。オンデマンドで帯域切り換えのできるROADM のようなDWDM製品の市場投入が加速すれば、将 来の用途に合わせて、既設ネットワークをより効率的かつ弾力的に運用できるようになります。通信用半導体の先導サプライヤとしてインフィニオンは、Smart ROADMのような強力で柔軟性が高く費用効率のすぐれたデバイスを提供することによって、顧客企業を支援していきます」と、語りました

DWDMシステムにおいては多くの場合、単数ないし複数の波長のアド(挿入)ないしドロップ(抜出)を「オンデマンド」にこなせる能力が望まれます。その機能をするのがOADM(光アド/ドロップ・マ ルチプレクサ)です。OADMは、全波長を合波ないし分波することなく、特定の波長だけをドロップし、他の波長は通過させることを可能にします。初期のOADMは固定的で、あ らかじめ決められた特定波長をアドないしドロップするために、物理的な設定を行うことが必要でした。インフィニオンの「Smart ROADM」など第二世代のOADMは高集積かつ再設定可能で、ど の波長をアドないしドロップするかの選択をダイナミックに行えます。ROADMの大きな特長の1つは、サービス要員が現地に赴いてデバイスの設定を手作業で行うという手間が省かれることです。しかも、運 用サービスを中断させずに、遠隔操作でファームウェアを更新ないし交換できます。

インフィニオンの「Smart ROADM」は、完全再設定可能な20チャネルを持ち、1つのチャネルから信号の最大50パーセントをドロップさせ、残 る50パーセントを他の行先へ向かわせることができます。「Smart ROADM」の特長は、全ドロップ・ポートとスルー・ポートをイコライズするための光可変減衰器や、全 ポートを監視するための光パワーモニタをワンチップ化した点にあります。また、内蔵の自己較正型電子コントローラにはRS-232標準インターフェイスが装備されているので、上 位のネットワーク制御システムと容易に交信でき、その結果、既設のネットワークアーキチクチャに「Smart ROADM」を容易に組み込むことができます。電子コントローラには、較正用ルックアップ・テーブル、 エラー・テーブル、内部温度コントローラなども装備されています。

20チャネル「Smart ROADM」は、インフィニオンのSiO2/Si(酸化シリコン/シリコン)プロセスで製造され、省スペースのモジュール(寸法:150mm×150mm×59mm)に 格納されています。評価用サンプルは3月から出荷される予定です。小ロット注文の単価は2万米ドルとなる見込みです。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

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INFCOM200203.060e