インフィニオンが新標準ADSL2対応の局用トランシーバ・チップセットを発売

2002/10/30 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、ADSL(非対称型デジタル加入者線)の新しい国際標準であるADSL2(G.dmt.bis)の諸要件をサポートするADSLトランシーバ・チ ップセットを発売すると発表しました。これを用いれば、世界中の通信機器プロバイダは、家庭および企業の顧客向けのブロードバンドサービスで、データ伝送速度の向上と伝送距離延長のメリットが得られます。

ITU(国際電気通信連合)がG.992.3/G992.4と命名したADSL2標準は、ループ長を延ばして、ADSLサービスをより多くの顧客に届けられるようにするほか、広 範な回線診断能力と洗練された節電モードを備えます。また、この標準で規定され、インフィニオンが今回の新チップセットでサポートしているその他の重要な特長として、迅速な立ち上げ、オール・デジタル・ループ( ADL)、チャネライズド音声などがあげられます。

この新標準をサポートするため、インフィニオンは同社の実績ある「Geminax」(Global Enhanced Multiport Integrated ADSL Transceiver) チップセットにADSL2準拠データポンプを搭載して、改良しました。新チップセットは、従来の「Geminax」チップセットとプラグイン可能な互換性があります。機器プロバイダは、単にデータポンプ・チ ップを差し換えるだけで、既存のラインカード設計を簡単にグレードアップできるので、市場投入までの期間を大幅に短縮できます。
 
「Geminax」チップセットを採用したインフィニオンの顧客企業は、データ専用サービスまたは音声/データ複合サービスをサポートできる、コスト的に効率よく、高密度かつ低消費電力のアクセス・ネ ットワーク・システムをキャリアに提供できるようになります。局用DSLAM(DSLアクセス多重装置)やDLC(デジタル・ループ・キャリア)システムのアプリケーションにおいて「Geminax」チ ップセットは8本の標準準拠ADSLポートをサポートし、また、ADSLと従来のアナログ電話のどちらの要件も満たせるよう完全にプログラム可能になっています。こ のように標準互換性とプログラマビリティを兼備しているので、製造とロジスティックが簡素化され、さらにシステムの総コストが低減されます。

「Geminax」チップセットには、データ専用版と音声/データ統合版(Integrated Voice/Data=IVD)の2種類が用意されています。IVD版は、市 販されているADSLトランシーバ・チップセットのなかで、在来電話サービス(POTS)用スプリッタを備え、かつベースバンド音声処理サポート機能を備えた唯一のチップセットです。この統合レベルにより、サ イズがかさむ高価な外付けPOTSスプリッタやADSLラインカードおよびライフライン音声サービス用の伝統的なPOTS音声ラインカードを必要とするマルチボード・ソリューションと比べて、材 料費が著しく軽減されます。

ADSL2をサポートする「Geminax」チップセットは、現在サンプル出荷中です。

ウェブサイト:
http://www.infineon.com/dc2dc

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

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INFCOM200210.009 e