インフィニオンがMTU/MDU市場向けにEthernetスイッチ開発プラットフォームを発表

2001/05/07 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは本日、オフィスビル向けネットワーク装置MTU(マルチ・テナント・ユニット)や マンション向けのネットワーク装置MDU(マルチ・ドウェリング・ユニット)の市場へ向けて、同社のEthernet over VDSLチップセット「10BaseS」と、イーサネットスイッチIC「 AR2224」を組み合わせた、先進的な開発プラットフォームを発表しました。このプラットフォームは、評価ボードとソフトウェアで構成されています。イーサネットおよび「10BaseS」の インターフェイスを備えた高性能スイッチ機能の提供により、ネットワークシステム・メーカーやOEM企業のために大幅なコスト低減と製品開発期間削減を実現します。

インフィニオンのダニエル・ウォング(通信グループ担当副社長兼LANビジネスユニット部長)は、「最新のカーナーズ・インスタットのレポートによると、サ ービスとハードウェアを合わせたMTU/MDU市場の規模は2005年に85億ドルに達する見通しで、競争の激化に伴い、高効率、高性能システムへの要求はますます強まるものと見られます。本 日発表した開発プラットフォームは、通信の分野での完結した最先端ソリューションの提供で、インフィニオンが高い技術力を持つことをあらためて裏付けました」と、語りました。

インフィニオンのEthernet over VDSLである「10BaseS」チップセットは、MTU/MDU市場向けに現在販売されている製品の中で、最高速・最 大容量の銅線ケーブル通信技術です。既設の電話線を介して距離1200m以上のイーサネット伝送を可能にする「10BaseS」は、シンプルでコスト効率が高く、既存のブロードバンド・ソ リューションやLAN拡張ソリューションに代わる技術として注目されています。インフィ二オンの高集積イーサネットスイッチIC「AR2224」は、プラットフォームのスイッチング・エンジンとして機能し、1 0BaseS、ファスト・イーサネット、ギガビット・イーサネットの各ポートを結び、ワイヤ・スピードのデータトラフィックをサポートします。ギガビット・ポートはプロキシ・サーバへの接続や、I SPへのアップリンク向けに使用できます。アップリンク用に使用する際には、標準の光ギガビット・インターフェイス、もしくは、フルレート/サブレートのT3リンクを提供する小型の子カードが用意されています。後 者の子カードには、インフィニオンのスマートプラグ&プレイ物理層デバイスである「TE3-FALC」が使用されています。さらに、同梱されたスイッチ・マネジメント・ソフトウェアにより、M TU/MDUのための完結した豊富な機能を持つ開発環境が提供されます。

「10BaseS」チップセットついて
「10BaseS」は、QAM(直交振幅変調)方式を採用した、高集積・低消費電力のEthernet over VDSLソリューションです。回線伝送速度は全二重11.25 Mbpsで、標 準10 Mbpsイーサネットに対する透過性を提供します。他のイーサネット・ソリューションと比較して、コストの高いCAT5ケーブル配線の必要がなくなることが大きな特長となっています。既 存の銅線ペアケーブルを利用しながら、1200m強の伝送距離でも完全に機能を維持できます。「10BaseS」はCPU、クロック、AGC、メモリを統合した高集積ビルディングブロックです。RMII、S MII、7wire、IEEE 802.3イーサネットMIIの各インターフェイスとも完全な互換性を持ち、設計の簡便化、コスト低減、製品開発期間の短縮を実現します。イーサネットPHY(物理層)モ ードに設定した場合には、スイッチ、DSLAM(DSLアクセス多重装置)、NIC(ネットワーク・インターフェイス・カード)などの用途に使うことができます。また、MAC(メディア・アクセス・コントローラ) モードに設定することにより、カスタマ構内ネットワーク装置においてイーサネットPHYのスタンドアロン制御に利用できます。

イーサネットスイッチIC「AR2224」について
「AR2224」アーキテクチャは、スタンドアロンおよびスタッカブルなファスト・イーサネット・スイッチを低コスト、低部品点数、低消費電力で実現します。この高集積デバイスは、24本の 10/100ポート(FEポート)と2本のギガビットポート(GEポート)を備え、すべてのポートで同時に全二重でワイヤ・スピードのトラフィックを維持します。ギガビット・リ ンクはアップリンクあるいはスタッキング用に使用することができます。このデバイスはトランク機能も持ち、最大8 組のFEリンクあるいは2 組の1Gリンクを集合化し、シ ングルチップで複数の幹線をサポートします。

ウィンドリバー社のManaged Switch(TMS)2.0用「Tornado」が、インフィニオンのイーサネットスイッチIC「AR2224」に完全に集積されています。TMS 2.0はレイヤ2およびレイヤ3プロトコルとアプリケーションソフトウェアの完結したセットに、「Tornado」集積開発環境(IDE)と「VxWorks」RTOS(リアルタイム・オペレーティング・シ ステム)を組み合わせています。

開発プラットフォーム「Ar2224-Ref-10BaseS」は、16本の10/100イーサネット・ポート、4本の10BaseSポート、1本のWAN接続用ギガビット・アップリンクおよびフル・ マネジメント能力を提供します。価格は5,000ドルで、出荷開始は今年の6月の予定です。

インフィニオンについて


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INFCOM200105.078e