インフィニオンテクノロジーズが「10BaseS」の8ポート版を発表

独インフィニオンテクノロジーズは本日、Ethernet over VDSL向けの「オクタル10BaseS」（8ポート10BaseS）チ ップセットを発表しました。「10BaseS」は、既存の銅線インフラを用いてイーサネット伝送距離の延長を可能とするインフィニオンの知的財産技術です。今回の8ポート版チップセットは、イ ーサネット方式ブロードバンド･アクセス･システムのコスト低減と設計期間の短縮に寄与します。イーサネット･スイッチ（交換機）やDSLAM（DSLアクセス多重化装置）のラインカードなど、集 合店舗や集合住宅（MTU/MDU）のネットワーク機器に適用されます。

インフィニオンのシュロモ・ベルコビッチ（ブロードバンド･アクセス部門ゼネラル・マネージャ）は、「MTU/MDU市場は、昨年度、着実な成長を示しました。カーナーズ･インスタット･グ ループの最近の報告では、MTUの世界市場は、2001年の12億ドルから、2005年には98億ドルに成長すると予測されています。次世代のMTU/MDUシステムにとって最重要課題となるのが、密 度とコストです。すべての条件を満たすオクタル10BaseSチップセットにより、MTU/MDUシステム･ベンダーは、大幅なコストの削減と市場投入までの期間の短縮を同時に達成できるでしょう」と、述 べました。

　インフィニオンの「10BaseS」チップセットはすでに、先進的なイーサネット方式ブロードバンド･アクセス･システムに採用されています。「オクタル10BaseS」は、この「10BaseS」 チップセットを基盤にした高集積チップセットで、スイッチやDSLAMに使用されている既存のイーサネットPHY（物理層）チップに代わる簡素で費用効率の高いソリューションです。「オクタル10BaseS」で は、トータルコストは従来の「1ポート10BaseS」ソリューションに比べてポート当たり25%以上の節減ができます。さらに、市場投入までの時間の短縮、トランスペアレントなイーサネット･パ ケット伝送の提供に加え、カスタマ側ですでに使用されている10BaseS CPE（モデム）と完全なコード互換性を持っています。 「10BaseS」について 「10BaseS」は、直交振幅変調（QAM）方 式を用いた、高集積で低消費電力のEthernet over VDSLソリューションです。標準伝送速度は全二重12.5 Mbpsで、イーサネット･パケット（10Mbps）を トランスペアレントに転送します。伝送速度は、最高15.6 Mbpsまで設定でき、最高25 Mbpsまで支援する非対称設定も可能です。他のイーサネット･ソリューションと異なり、コ ストのかかるカテゴリー5ケーブルが不要で、既存の銅線ペアを使用できます。しかも、1,200mの距離まで、信号の完全性を保持して伝送します。

インフィニオンの「オクタル10BaseS」は、CPU、クロック、AGC（自動利得制御）、およびメモリを組み込んだ高集積システム･ビルディング･ブロックです。R MIIおよびSMIIインターフェイスと互換性を有するのに加え、接続に外付け部品は不要なので、設計の簡素化と、コストおよび市場投入時間の低減がはかれます。標 準イーサネットPHYチップと直接置き換えるだけで、スイッチやDSLAMに組み込むことができます。現行の「1ポート10BaseS」チップセットも、同じインターフェイスを備えています。1ポート版はさらに、 カスタマ側のCPE（モデム）でイーサネットPHYチップをスタンドアロン制御するためのメディア･アクセス･コントローラ（MAC）としても使用できます。

「オクタル10BaseS」チップセットの出荷は、2001年の第4四半期中に開始される予定です。チップセットは、PEF22824（デジタル･トランシーバ）、PEF22825（アナログ･フ ロントエンド）、およびライン･ドライバICで構成されています。「オクタル10BaseS」は、チップセットとして5万セット（40万ポート）受注の場合、ポート当たりの単価は15米ドルとなります。