よりスマートな世界へ:5Gによるモバイル通信

モバイル通信の次なる進化形:5G。新規格である5Gは、まったく新しい可能性を秘めたアプリケーションへの扉を開きます。未来のモバイル通信はどのようなものになるのか?インフィニオンのチップがいかにして暮らしををより便利に、安全に、エコにするのか?近未来の世界を覗いてみましょう。

スマートシティでの帰宅

夜遅くまで続いた販売担当とのミーティングを終え、イザベル・グレインジャーさんは車で家路に向かっています。「渋滞が解消していてよかったわ。ラッシュの時間帯なら大変だったかも」と思いながら、彼女は夜の街を運転しています。街の北側からイザベルさんが住む南側の郊外へは、夕方だと一時間以上はかかります。

夜遅く帰宅する難点は、街中の駐車スペースがほとんどないことです。しかしイザベルさんは心配していません。彼女が住む地区はスマートシティの試験プロジェクトに含まれているからです。レーダーセンサーと無線ID(RFID)チップを内蔵する街灯が近所の空いている駐車スペースを探し出し、モバイルネットワークを介して、その情報をセントラルサーバーへ送信します。

イザベルさんの車には、その情報を受信するアプリがインストールされています。そして街灯のある安全な駐車スペースをナビに表示します。イザベルさんはすぐに駐車スペースを見つけ、無事に彼女の家から約150mの場所に駐車することができました。「便利になったものね。時間と燃費の節約にもなるし、ご近所を何度も行き来して迷惑をかけることもないわ」と、彼女は駐車しながら思うのでした。

スマートな街灯“eluminocity”に関する詳しい情報は、こちらをご覧ください。

5Gとは?

5Gとは?

5Gはモバイル通信の「第5世代」となる規格です。次世代となる5Gは、現在のLTE(4G)を継承するものです。それ以前の規格は、UMTS(3G)とGSM(2G)でした。5Gは毎秒最大10Gbpsという、より大きな帯域幅と超低レイテンシを可能にします。これにより、より高速な伝送レートを実現し、今後さらにネットワーク化される社会の通信ニーズを満たすことができるようになります。また5Gでは、データ伝送の消費電力を大幅に抑えることが可能になります。従来の規格と比較した場合、1ビットあたりの伝送消費電力は、わずか1,000分の1になります。

グリーン:基地局(マクロセル、Massive MIMO)< 6GH
ピンク:スモールセル(ビームフォーミング) > 6GHz

スマート化とコネクテッド化 - 5Gがもたらす未来の通信

100倍の高速化

5Gの実用化により、デバイスでリアルタイムのデータ送受信が可能になります。Industry 4.0にとって不可欠な要素となるだけでなく、日々使用するアプリに魅力的なユーザーエクスペリエンスをもたらします。

1,000倍のデータ大容量化

5Gは大勢のユーザーが同時に、高速かつ安定的に送受信することを可能にします。特に大きなイベントでは利点となります。

2020年までにコネクテッドデバイスの数は500億へ

5Gはスマートホームへの道を切り開くものです。冷蔵庫はインターネットと接続され、無線LANルーターやテレビをリモートで操作することができるようになります。

安定的なネットワーク

5Gは安定的な接続を可能にします。時速600キロで移動する電車内でも、他のモバイル機器が使用している無線領域内でも、安定的な接続ができるようになります。

スマートな接続

5Gを活用するスマートシティでは、信号を目的のデバイスに向けて直接発信します。

高いセキュリティ基準

5Gでは、より多くのデータがより多くのデバイスに伝送されます。そのため、すべてのデバイスとデータに不正アクセスを防止する対策を施す必要があります。

消費電力の低減

5Gは消費電力を抑えます。送信側は受信側を検知すると、オンデマンドで信号を発信します。通信を終えると、瞬時に接続を遮断します。

低レイテンシ

5Gはリアルタイムの通信を可能にします。1ミリ秒という応答速度は、コネクテッドカー、Industry 4.0、遠隔医療にとって不可欠な要素となります。
5Gがもたらす恩恵とは?

5Gがもたらす恩恵とは?

モバイル通信規格5Gは、最大10Gbpsという伝送レートにより、従来のLTEより約100倍速いデータ通信を可能にします。4K解像度のビデオ再生も、あっという間に開始し、DVD1枚分のコンテンツをダウンロードする際にも、5秒もかかりません。テレビ会議などでよく見られる遅延は過去のものとなります。これにより、インターネット上で医師が手術を行うといった遠隔医療アプリの実現も夢ではありません。また新規格である5Gは、より大きな帯域幅を持つため、大勢のユーザーに対して同時に、より高速で、より高品質なコンテンツを提供することが可能になるだけでなく、より安定した信頼性の高い通信もできるようになります。

夜間駐車の新しいあり方

ジョン・スペンサーさんもまた、駐車しようとしている最中です。ほんの数ヶ月前に彼がリースした自動車です。渋滞の中でも完全に自動運転するといった新しい機能に、いまだ彼は驚きを隠せない様子です。「まるで車輪のついたコンピューターのようだ」と、ディーラーから機能の説明を受けている時にジョンさんは思いました。

エンジンを停止させると、メッセージがディスプレイに表示されました。運転をより安全に、より便利にする多くの新機能を含むアップデートが自動車メーカーから通知されているのです。整備工場まで運転する必要はありません。スマートフォンと同じように、テレマティクスユニットという自動車に搭載されているモバイルインターフェースを利用し、アップデートをダウンロードすることができるのです。また、内蔵されているセキュリティチップにより、承認されたサービスプロバイダーのみが自動車のシステムにアクセスすることができます。

高速な5Gネットワークにより、ソフトウェアの新しいバージョンをダウンロードしてインストールするまでに20分もかかりません。翌朝まで自動車を使う必要がないので、ジョンさんはアップデートをすることにしました。車外に出て自動車をロックした時には、すでにアップデートが開始されています。数秒以内には新しいユーザーガイドが自動的にジョンさんのスマートフォンに直接送信されます。こうしてジョンさんは、すぐに新機能の詳しい情報を知ることができるだけでなく、翌朝には機能向上した自動車を利用することができます。

5Gが未来へもたらす重要性とは?

5Gが未来へもたらす重要性とは?

近い将来、より多くのデバイスが相互に直接通信を行うようになり、 IoT (Internet of Things)への傾向は、より現実的なものになります。専門家によると、2020年までに最大500億ものデバイスがインターネットを介して接続され、そのほとんどがモバイルデバイスによるものになると推測されています。5Gは膨大するデータに対応する基礎を築き、ネットワーク化された生産(Industry 4.0)などに不可欠なアプリの開発を促進させるものです。

日常における自動車セキュリティ

ステファン・ホフシェン博士 -自動車の相互接続増加が生むチャンスとリスク(英語)

インフィニオンができる5Gへの貢献とは?

インフィニオンができる5Gへの貢献とは?

次世代のモバイル規格である5Gの実用化にインフラの拡大は不可欠です。既存の基地局をアップグレードし、スモールセルと呼ばれる小型タイプのアンテナ塔を新たに設置する必要があります。インフィニオンは、そうした基地局やアンテナ塔で使われている高周波部品を供給しています。またインフィニオンのチップは、最大90GHzまでの周波数帯に対応するため、特に5Gといった高い帯域幅を必要とするデータ伝送を可能にします。

一方、接続の増加によりデータセキュリティの必要性も増大します。スマートホーム、コネクテッドカー、Industry 4.0は、不正アクセスを防止し、データやデータ処理に高いセキュリティがあってこそ実用化されるものです。インフィニオンでは、増大するセキュリティの脅威に対応する幅広い半導体ソリューションを提供しています。

決定的瞬間を逃さない

完璧な正確性でセンターフォワードにパスが渡りました。トラップしてそのままシュート。ゴール!7万人以上の観衆が歓声を上げています。グレゴリー・ウェストさんは息子と一緒にサッカースタジアムにいます。いつものように息子のジュリアンはスマートフォンを手にして、ピッチ上の試合展開を観ています。ジュリアンは同時にスマートフォンの画面も見ています。国営のテレビ局大手がインターネットでライブ実況をしているのです。

ジュリアンは目の前のピッチで行われている試合を観戦しながら、別のカメラアングルの映像をスマートフォンでも見ているのです。しかも5Gの高速ネットワークによって遅延がありません。さらにジュリアンは小型のワイヤレスイヤフォンを装着し、同時にテレビ局の実況も聞いています。

一方、スタジアムの雰囲気に浸ることを好むグレゴリーさんが周りを見渡しています。多くの観戦者がスマートフォンを片手に、二つの方法で試合を楽しんでいます。これが大きなイベントでは現実的なトレンドになっているのです。「数千の人が同時に、何の障害もなくモバイルネットワークにアクセスできるとは、実に素晴らしいことだ」と、グレゴリーさんは思うのでした。

5Gが実用化される時期は?

5Gが実用化される時期は?

新しいモバイルインフラを設置するには多くの技術的、経済的な課題があります。韓国では、2018年に開催される冬季オリンピックに向けて5Gソリューションの利用が開始される予定です。アメリカでも、多くのネットワーク機器メーカーが、次世代のワイヤレスソリューションとして28GHz帯の専用サービス(固定ワイヤレスアクセス)を提供する計画でいます。また、2020年に東京オリンピックが開催される日本でも、同様のインフラを設置し、稼働させる予定です。新規格である5Gの実用化は2020年頃になりますが、デバイスやアプリの数が充分に増加し、ユーザーが5Gの性能を本格的に活用できるようになるには、さらに数年かかると予想されます。

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